「鬼滅の刃」が全盛期ですが、地方議会の政務活動費不正利用報道のドキュメンタリー映画「はりぼて」を観てきました。

ドキュメンタリーとはいえ、映画である以上、多少の印象操作をしている部分は否めませんが、議会という限られた人数による閉ざされた組織の中において、非常識が常識化していた実態が明らかにされています。議員の立場でみると、切なくなります。。。
さて、議会や議員活動に日常から興味関心を持っていただいている方はほとんどいません。それは単なる無関心とも違うように私は感じています。ある一定の信頼や、付託、委任といった想いがないとも言えません。だからこそ、議員は高度な社会的常識が求められています。
しかしながら、限られた人数で、限られた活動を行い、上司部下もない集団の中においては、時に非常識が常識化してしまっていることがあります。よくきくのが「他の議員もやっている」です。私自身も、その非常識さに気が付かないこともあります。だからこそ、不正が出来ない環境をつくったり、自浄作用を高めるシステムをつくる必要があります。
直接市民生活の利益や福祉向上になる取り組みではありませんが、ひとたび信頼が崩れてしまえば、議会の存在価値が大きく揺らいでしまう時代において、不断の改善が求められています。
本映画では、領収書の書き換えによる政務活動費の不正受給がえがかれていました。登別市議会では10年前からすべての領収書の写しをHPに公開
<リンク>しています。情報公開請求の仕組みもありますが、基本的に議会が秘匿な情報を有するべきではありませんから、あらかじめすべてを公開しておくとの判断です。
登別市の政務活動費は月2万円と、それほど大きな金額ではありませんが、HPでの領収書公開の仕組みは自浄作用には有効だと感じています。例えば、登別市議会では視察研修時における食事代を一定の基準のもとで認めていますが、私の所属会派では飲食経費での支出は行わないこととして、独自に運用しています。適切な飲食が何かの判断が社会通念上において曖昧であることから、どのような内容であっても飲食費の支出に市民の理解が得られにくいとの判断です。
しかしながら、これからの市議会全体の価値向上を鑑みれば、今後は登別市議会としての運用基準を明確に定めていく必要があります。
例えば昨年、地方自治法195条に基づき、監査委員に議会推薦により私が選任された後に、監査に関わる研修に参加しようとしました。その際に議会事務局から監査に関わる研修は議会活動に一致しないとして、政務活動費の支出による参加を控えるように促されました。結局、時間をかけたくはなかったので自費で参加しましたが、明確な政務活動費の使途基準がなかったことにより、議会事務局と一議員である私との意見の相違がうまれました。
議会議員の立場で監査委員に選任され、その後、監査に関わる研修に参加することに対して、政務活動費を利用することが適切かどうかの判断をするにあたり、法的には明確なものがありません。本来は議会内議員同士が公に議論し、議会全体の共通理解を図ったうえで、最終判断する必要があったと思います。
さらに今後は、例えば会派代表者が集い、それぞれの会派での政務活動費支出が適切なものかどうか、定期的に内部監査を行うような仕組みがあっても良いかもしれません。その中で、様々な事例の適切性を検討し、使途基準をブラッシュアップしていけば良いのではないでしょうか。
いずれにせよ、議会が高度な社会的常識を保つには、議員個々のモラルだけにゆだねるべきではないと感じた映画でした。