登別市議会議員 辻󠄀ひろし

理想郷の裏側

毎月仲間で開催している勉強会で、「地域包括ケアシステム」をテーマに登別の今後について検証してみました。
     H28包括ケアシステム勉強会2     H28包括ケアシステム勉強会

地域包括ケアシステムとは、「高齢者の住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域体制づくり」を目的とした政策パッケージです。高齢者移住政策・日本版CCRCも、この考え方に近い部分が多いです。

システムづくりの方針が国から示された際に、日本全国の先進事例とされる地域活動も多く紹介されました。これにより、私自身も含め、今後の高齢者福祉が目指すべき重要な政策方針として好意的に広く認知されています。システム実現の理想自体には、異論を唱える人も少ないと思います。

今回、本年度行われた診療報酬・介護報酬の同時改定の内容を細かく見ていくと、高齢者の在宅推進、介護サービス報酬の理想的あり方に向けた見直しが相当細かに行われていました。しかし、地方部の自治体としての立場に立てば、必ずしも登別市に適した内容とは思えない部分も多くあります。

これから都市部においては急激に高齢化が進行しますが、地方部においては既に高い高齢化率に加え、最大介護需要の時期はわずか10年以内に超えてしまうことになります。診療報酬・介護報酬を改革することにより、市場原理を誘発し、社会保障費の抑制を図りつつ、地域包括ケアシステムの理想へ近づけたい思惑は解りますが、地方部の介護産業においては、積極的な設備投資や改変を行える時期を既に過ぎてしまっています。

誤解を恐れずに言えば、介護保険制度開始時は、民間市場に有利な条件を提供することで市場原理を誘発して制度を確立してきましたが、地域包括ケアシステムについては、民間企業に不利な条件を提供することで市場原理を誘発して制度を確立しようとしているようにも見えます。

また、報酬改定により医療・介護分野の民間企業は経営をかんがみて動かざるを得ませんが、地域支援の要となる自治体が積極的に包括ケアシステムを目指したくなるような仕組みづくりには乏しい印象もあります。国の政策方針だから、当然基礎自治体も動くという性善説的要素が強すぎるのではないでしょうか。

登別市においても、行政として取り組まなければならない課題がここ3年内に多く控えています。しかしながら、本質を踏まえ地域や民間事業所と連携して取り組むには、あまりにも手間と時間を要する内容であることから、おそらく今後は”モデル”を参考に各種事業に取り組むことになり、”地域性”に応じた独自性ある事業は生まれてこない可能性が高いと思われます。

例えば、地方交付税算定や国保会計等に有利な条件を課さない限り、現実的には自治体が積極的に動くことはなく、地域包括ケアシステム自体も「理想郷」に過ぎないのではないかと感じてしまいます。(行政に対しても民間企業と同じ手法を使うなら「不利な条件」を課してくることになりますが、それはそれで嫌ですね。。。。。)

この先には、障がい者福祉制度の改編も視野に入れているでしょうし、、、、制度や政策の視点からみれば、意外とドロドロしてませんか?地域包括ケアシステム。

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