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ワカモノ議員@寄稿

道内の自治体職員や研究者、地方議員などで構成されている、北海道自治体学会の会報誌に寄稿させていただきました。

H2905自治体学会会報誌
来週には、同学会の総会・シンポジウムも開催されます。

寄稿文は、若手政治家の動向と地方の有様についてまとめたものです。転記いたしますので、お時間のある方はお読みいただけると幸いです。次回6月の定例意見交換会「辻ひろしとみんなの語り場」も同様のテーマでお話しさせていただく予定です。


     「ワカモノ議員」
    2015年世代別当選人@辻
 平成19年に登別市会議員に初当選させていただいてから、本年度で活動10周年を迎えた。私は大阪府豊中市で育ち、道内の大学卒業後、社会福祉士として登別市に就職、間もなく結婚、子育てという生活を送っていた。そのような中、仕事を通じて、生活保護に対する市行政の姿勢に疑問を感じたことが、25歳で市議会議員に立候補するきっかけとなった。

正直なところ、よそ者である私は「地元(登別)への愛着」が際立って強いわけでもなかったし、「マチを改革する」といった熱意に燃えていたわけでもなかった。ただ、社会で声を出せず、日々の生活に苦しみを持つ方に眼を向けてもらう術になるのではないかと、今にして思えばミニマムな想いしかなかったように思う。

夫婦ともども、縁もゆかりもない登別に住み始めてわずか3年だったので、「よく出たな」と感心されたり、揶揄されたりすることもあるが、当時25歳の決断は決して重厚なものではなく、地元ではないからこそ「ダメだったとしても恥ずかしくもない」ぐらいの気持ちであったと思う。あまりの軽さに、当時の私に出会ったならば𠮟りつけてやりたいぐらいだが、意外にも周囲の方々は私の決断を尊重するとともに、心から心配し、支えてくれた。実際、思うよりも選挙戦は厳しく、つらいものであり、この時のお支えや出会いは、私に登別への愛着を劇的に強めてくれた。

さて、初当選した2007年は、夕張市が財政再建団体に移行した年でもあり、地方自治体においても自立したマチづくりが求められるとともに、議会議員においては、より高い専門性と行動が求められるようになった年でもある。社会福祉以外の知識も経験もなかった私は、北海道自治体学会をはじめ、多くの団体や研修会にお世話になりながら、地方自治のあり方を学んできたが、当時のいずれの研修においても夕張市を例とした財政運営のあり方が話題にならないことはなかった。このことは結果的に、地方議員の職責の重さや、新たな役割を模索する必要性について私自身が危機感を持つことにもつながった。

地方議員にとって、御用聞きやイベント企画実施などの活動は、とても大切なものであるが、あくまでも議員の価値は議会質問にあるとの志向は、この時に培われたのだと思う。

 その後、10年を経て、地方創生や18歳選挙権の導入、政務活動費の適正利用など地方議会を取り巻く環境は変化し続けてきている。2007年統一地方選挙において30代以下の全国市議会議員当選者数は557人だったのが、前回の2015年統一地方選挙においては1,805人に増え、30代以下の議員も決して珍しい存在ではなくなってきたように実感する。

それでも地方政治家の世代割合をみてみると、2015年統一地方選挙で最も多く当選したのは60歳~64歳で19.9%、次いで65歳~69歳の18.2%、55歳~59歳の15.0%、50歳~54歳の11.5%、70歳以上の10.2%と続き、60代以上で全体の約半数、50代以上で約75%を占める。逆にもっとも少ないのが25歳~29歳の1.2%で、次いで30歳~34歳の2.9%、35歳~40歳の5.1%と30代以下は全体の1割にも満たない。

 30代以下と60代以上の割合をカテゴリー毎にみていくと、都道府県議会議員は30代以下10.6%・60代以上40%、知事は30代以下8%・60代以上56%、政令指定都市市議30代以下17%・60代以上29.8%、政令指定都市市長30代以下5.9%・60代以上35.3%、市議30代以下9.7%・60代以上45%、市長30代以下3.4%・60代以上56.4%、特別区議30代以下20.6%・60代以上24.3%、特別区長30代以下3.1%・60代以上62.5%、町村議員30代以下3.1%・60代以上70%、町村長30代以下2.5%・60代以上65.3%となる。

 知事の被選挙権は30歳からであることをかんがみても、30代以下の政治家はまだまだ少ないのが現状のようである。私自身は、首長を担うには自治体経営者として一定の経験や人脈、直観力が必要であると考えているため、必ずしも若手政治家すべてを推奨してはいない。しかしながら地方議会議員においては、より多くの世代参加による自治の実現とともに、将来にむけてより経験豊富で優秀な政治家を育成するためにも、若手政治家の参画は重要である。先に述べたカテゴリー別の世代割合を見るに、政令指定都市や特別区議など都市部においては30代以下の政治家が健闘していることがわかる。

反対に一般市議・町村議会のように、地方部に近づくほど60代以上の政治家との格差は大きく広がっている。町村議会を中心に立候補者の定員割れが問題化してきているが、その背景には若手政治家の参画が地方部であるほど少ないことが影響していることがうかがえる。それでも、2007年・2011年の統一地方選挙結果と当選者「数」比較すると、30代以下の政治家は町村議会議員以外、すべてのカテゴリーにおいて増加を続けている。当選者「割合」はほぼ横ばいながらも、市町村合併や議員定数削減で全体の当選者数は激減してきている中において、若手政治家は着実に増えてきている。

 地方創生総合戦略を中心とした政策パッケージが地方部において強く推奨される中、出生率の回復を目的とした子育て支援策や、各世代の移住政策などに当市をはじめ多くの地方自治体が取組みを始めている。その成功のカギとなるのは、高等教育進学と同時に都市部へ流出していく若者を呼び戻すとともに、優秀な人材をいかに地方自治体に集めるかを考案することにあると言われている。都市部において若手政治家が増え、地方部においては未だ若手政治家にとって越えられない障壁があるのは、現在の都市部と地方部の人口動態の偏りと、ある種同様の課題が存在しているからではないだろうか。

昨今の“若者支援政策”に対して、「いまどきの若いモンは自分で努力することを知らない」と、いまだ拒否感の強い意見を聞くことも多いが、地方部においてこそ若者支援に対する理解を深めなければ、優秀な若者のみならず、若手政治家も都市部へと偏りが生じてくることが懸念される。

 若くして政治家になった者の中には、いわゆる一般的な社会経験がまったくない者もおり、金銭面や男女関係などにまつわる不祥事をおこしてしまう事例も少数ながらある。また、私自身を含め、知識や技術を道具として活用しきれずに、思考や行動に偏りが生じてしまう者もいる。これらの若手政治家に対して、淘汰すべき政治家か、マチの未来づくりに必要な政治家かを見極めたうえで、必要な人材にはより多くの経験と学習をつませ成長させていくことが、これからの地方におけるマチづくりにはより重要になってくることをご理解いただきたい。

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プロフィール

辻󠄀ひろし

Author:辻󠄀ひろし
辻 弘之 (つじ ひろし)
2007年・26歳で登別市議会議員初当選。市議2期を経て、2012年末の登別選挙区北海道議会議員選挙に立候補するも惜敗。2015年、歴代最多得票にて市議3期に当選。

現 職:
医療法人社団千寿会法人本部、障がい者グループホーム アザリア・カワセミ・ヤマセミ勤務。北海道大学公共政策大学院卒。

資格:社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員・社会教育主事など

所属:(社)登別室蘭青年会議所/登別商工会議所青年部/全国若手市議会議員の会/北海道自治体学会/グリーンシード21/登別青年会/日本社会福祉士協会/登別ケアマネ連絡会/登別自衛隊協力会など

家族:妻・長女・次女(中学校1年生 双子)

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