登別市議会議員 辻󠄀ひろし

福祉のまちづくり

「福祉のまちづくり」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?

おそらく、多くの方は「ノーマライゼーションのマチ」「福祉に対する理解の深いマチ」「障害のあるなし、年齢に関わらず、自己実現できるマチ」など、社会福祉増進に向けた「ソフト整備・理念」を思い浮かべるのではないでしょうか。私もそう思います。

しかしながら、『福祉のまちづくり「条例」』となれば別です。

昨日、議会委員会に福祉のまちづくり条例案が示され、議会中継で委員会の傍聴をしました。条例案の中身も読ませていただきました。

本条例は、登別市独自の条例ではなく、古いものでは90年代から策定されている自治体もあります。条例の基礎根拠となる法律は、新旧バリアフリー法などであり、最近では交通基本法などもこの条例の基礎根拠とする自治体も出てきています。

つまりは、ハード整備が本条例の一義的な目的です。例えば、施設整備の際の事前届出や、市民参加型の協議委員会による整備許可などを義務付け、従わない場合には事業所名の公開や市長村長による改善命令などの規定が設けられている自治体も多いです。道内自治体の多くは、本条例に「事前届出」「適合証の交付」「立ち入り調査」を項目化しています。

全国の条例の内容比較は、TOTO UD研究所が調査した、『全国「福祉のまちづくり条例」改正状況調査』に詳しく掲載されています。

登別市内でいえば、葬斎場が北海道福祉のまちづくりコンクールで最優秀賞を受賞していますが、その受賞理由はハード整備が秀逸であるからとなっています。

もちろん、「心の整備」といわれる、福祉理解をひろめる活動も重要であり、ハード整備事業につづき、ソフト整備事業として心のバリアフリーを推進している事業者表彰制度などを本条例に位置づけている自治体もあります。

しかしながら、今回提案されている内容は、一部に公共的施設等における整備努力について触れた条例項目があるのみで、その他は「理念」と「社会課題の列挙」、「各種法から求められている社会福祉関連計画の策定根拠」を示す条例となっています。

驚いたことに、虐待の防止や就業機会の確保、男女共同参画の形成、防犯・防災などまで本条例に組み込まれていました。社会福祉に関連することであれば、なんでもありです。

もし、登別市が社会福祉に対する基本理念や姿勢を示し、法に基づく各種計画に永続性を持たせたいのであれば、「社会福祉基本条例」「福祉健康条例」などとするべきではないでしょうか。

また、虐待や障がい者雇用など、個々の社会課題は、より細やかな条例でその支援策を講じていかなくてはならないはずです。

“市民参加・各種関連団体による検討委員会で協議された案”であることを強調していましたが、そもそも政策法務の専門職は行政であるはずです。まずは政策法務を明確にした後に、策定のプロセスにおいて市民参加型で修正し、最終案をつくりあげていくのが条例策定の在り方ではないでしょうか。

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