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不正受給か、倫理的問題か、

お笑いタレントが母親の扶養義務に違反しているのではないかといった事案をきっかけに、扶養が困難な理由を証明する義務を親族に課すなどの運用方針が厚生労働省より示されました。

私は、あまりにも短絡的すぎるのではないかと感じています。

そもそも、「民法による扶養義務」が今回の問題として取り上げられています。しかしながら、民法制定時における「家族」と、現代における「家族」は大きく変化をしています。

民法改正までは求めずとも、現代社会における家族概念について、整理はされているのでしょうか。

また、生活保護受給者の中には、経済的課題だけでなく、障がい疾病や成育歴、家族環境、精神的課題など、種々の生活のしづらさを抱えている事例が多くあります。そのような中で、金銭的援助は行わずとも、社会生活を送るための支援を行っている家族も多くいます。

例えば、金銭的援助を強く求めた結果、親類としての交流そのものを拒否するようになる家族もおり、本人がアパート暮らしをするための保証人も確保できないことがあります。

「家族が面倒をみるのがあたりまえじゃないか」という意見があっての最近の世論だと思いますが、日常では想像できない複雑な経歴の結果、概念上の「家族」関係が維持できていない家族は多くいらっしゃいます。

また、親から子への「貧困の連鎖」といった問題も出てきます。

生活保護は単なる経済保障ではありません。例えば、児童虐待を行った家庭と貧困率は大きく影響をしています。生活保護制度は「社会保障制度」であることを、まずは議論の中枢におくべきではないでしょうか。

私は、この問題の背景にケースワーカーの専門性の不足があると思います。社会福祉専門職にとっても永遠の課題である「自立支援」を、一般行政職員だけで担うこと自体に、無理が生じてきているようです。

登別市においても、生活保護受給率のデータは積みあがっているものの、世帯類型ごとの伸び率や、その要因についての分析はほとんど行われていません。後期高齢者医療制度や母子加算の復活当時から、当市の生活保護受給率は大きく影響を受けましたが、それらの見込みや対応策は政策的に取り組まれていません。

社会保障制度は国の制度といった考え方を改め、わが街の生活者一人ひとりに必要な政策はなにかを、地方自治体としても真剣に考える時代になっているのではないでしょうか。このままだと、当市の総会計にしめる保護費は増えるばかりか、その減額だけを目的とした行動により、必要な社会保障も受けられない事例が増えてくるのではないかと危惧しています。

ちなみに、余計なことかもしれませんが、今回、当事者の個人名を出したことには決して賛同できません。今回の事案は倫理的問題と考えていますが、その個人名を広く社会に出したことも倫理的問題として批判されるべきことだと思います。

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辻󠄀ひろし

Author:辻󠄀ひろし
辻 弘之 (つじ ひろし)
2007年・26歳で登別市議会議員初当選。市議2期を経て、2012年末の登別選挙区北海道議会議員選挙に立候補するも惜敗。2015年、歴代最多得票にて市議3期に当選。

現 職:
医療法人社団千寿会法人本部、障がい者グループホーム アザリア・カワセミ・ヤマセミ勤務。北海道大学公共政策大学院卒。

資格:社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員・社会教育主事など

所属:(社)登別室蘭青年会議所/登別商工会議所青年部/全国若手市議会議員の会/北海道自治体学会/グリーンシード21/登別青年会/日本社会福祉士協会/登別ケアマネ連絡会/登別自衛隊協力会など

家族:妻・長女・次女(中学校1年生 双子)

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